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日本人アーティストをクローズアップ!Part.2

ジャンルもスタイルもさまざま。独自の感性と多彩な表現力で活躍する日本人アーティスト、6名の活動をのぞいてみました。PART.1はこちら!

写真家
山梨県出身
田中キャサリンさん
(ブルーミー ·メモリーズ)

田中さんは生後まもなく渡米し、カリフォルニア州サンノゼで育った。地元で定番の遊ぶ場所といえば近くのモールだったが、モール通いにも飽き始めてきた高校生の頃、親友の父親が趣味で使っていた大きなカメラに魅了された。ちょうどインスタグラムが流行り始めた時期でもあり、親友が父親から譲り受けたそのカメラを2人で試行錯誤しながら使ってみることに。当時はオートモードしかうまく扱えなかったが互いに写真を撮り合う時間は楽しく、今も良い思い出だという。こうした体験からカメラにひかれ、高校最後の年に写真のクラスを選択。しかし、座学ばかりでカメラに触れる機会はほとんどなく、内容の理解に苦しんだ。自分には向いてないのかもしれない……。芽生えていた情熱がこのとき一旦、遠のいてしまう。


©Bloomii Memories

春のカップルフォト

©Bloomii Memories

夏の卒業写真

2022年にシアトルに転居。転職活動を機に自分の人生を振り返る中で、封印していたカメラへの情熱を再認識する。高校時代は高価で手が届かなかったカメラも手に入り、平日のフルタイム勤務の傍ら、昨年から写真家としての活動を開始。かつて挫折を味わったカメラの設定も独学により一日で習得できたという。

人物撮影を得意とする田中さんは、ポートフォリオづくりのためモデルを引き受けてくれる人をフェイスブックで募り、無償で撮影を重ねた。完成したホームページには柔らかく温かみのある作品が数多く並ぶ。その雰囲気に引かれ、同じような写真を撮ってほしいとの依頼はワシントン州内にとどまらずアラスカやハワイなど州外から訪れる観光客からも寄せられるそう。撮影場所は事前に下見するが、ベルビューのボタニカルガーデンは何度も訪れているためお手のものだ。


©Bloomii Memories

秋のポートレート撮影

「撮られる側の緊張が分かるので撮影時は会話を続けるなどの工夫をし、自然な表情や笑顔が引き出せるよう、居心地の良い空間づくりを心がけています」と話す。

INFO.
ブルーミー・メモリーズ
https://bloomiimemoriesjp.mypixieset.com
instagram: @bloomiimemories

©豊田 正宗

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絵描き
宮崎県出身 友裕子さん
(ともだちアートクラス)

長友さんはアートをコミュニケーションのツールの一つとして捉え、「絵描きは壁ばかり向いて描いていてはいけない」というポリシーのもと、作品を介して人とつながり、自分の表現を言葉でも伝えることを大切にしている。1994年に神奈川県大倉山で、2000年からは地元宮崎県宮崎市で絵画造形教室を開く傍ら、個展やトークショー、前衛作品の解説執筆など幅広く活動してきた。90年代には、世間を騒がせた「ロス疑惑」の三浦和義氏を法廷画家としてスケッチをしたこともある。

2010年にシアトルに移住してからは、口コミを通じてイラストやロゴ、絵本の挿絵、モニュメントの墨画デザイン、舞台美術やBCA®︎土曜学校の算数教科書のデザインなど、多岐にわたる仕事を手掛けている。

BCA®︎土曜学校の算数教科書「SPARK Math」の表紙

仕事以外でも自己研鑽を欠かさず、鉛筆や墨、水彩を使ったデッサンを日々続けている。大切なのは「見えたままに描くこと」。そうすることで自分が持っている思い込みや固定概念に気付き、それを正していくことで見えてくる純粋な個性により近づいていけるのだという。長友さんは、そんなデッサンを基礎としつつ、並行して水彩やアクリル絵の具、墨や鉛筆など、さまざまな画材を自在に使いこなし、抽象画も多く描き、立体作品も多く手掛けてきた。作品を見る人が自由に思いを馳せ、作品の中で旅をするように感じられるーーそんな懐の深い作品を目指して制作活動を続けている。

映画制作を行っている友人に依頼を受け、手掛けた作品。父を思い100枚近く書いた中の一作

活動の原点は、5歳の頃にさかのぼる。母親が勤めていた特別支援学校の中学部を訪れた際、生徒たちが口や足で筆を操り、全身で作品を生み出す姿から人間の可能性を見せつけられ、自分もこの人たちのように全力で描きたいという気持ちになった。常にその場面は心にあり、絵描きとして立つ源となっている。長年障がいのある人たちと一緒に作品を作る活動は今も続けており、シアトルでは発達障がいの子どもを持つ家族の支援団体「NIKOの会」でサポーターを務めている。

ひまわりの花は、花びらのつき方や中心部分を描くのが難しく、毎回勉強になるという

宮崎県とのつながりも大切にし、宮崎市にある株式会社川上木材パラダイスデザイン事業部が販売する木製クラフト「KIKUMI」シリーズを命名し、デザインも担当。釘を使わない日本の伝統的な建築工法「木組み」からインスピレーションを得た。また、宮崎市が2001年から続けている「ふるさと文化学習支援事業」(実施団体NPO法人みやざき子ども文化センター)では、ふるさと先生のオリジナルメンバーとして24年にわたり宮崎の小中学校でアートを教える活動も続けている。 現在、シアトルでは、初心者から上級者まで水彩画、鉛筆・木炭デッサン画、アクリル画、水墨画などを気軽に学べる絵画教室を開催中

INFO.
ともだちアートクラス(Neue Art Space主催)
www.neueartspace.com

出絵画教室開催中
場所: 2840 Northup Way Suite100, Bellevue, WA 98004
日程:10月1日·8日·15日·22日、11月11日·19日、12月3日·10日·17日
(日程はウェブサイトにて随時更新)
時間:9:30am~11:30am、12pm~2pm(1回2時間)
料金:$23/1回

セラミックアーティスト
東京都出身 松下沙織さん
(サオリ ·エム ·ストーンウェア)

幼い頃から粘土や折り紙で立体的なものをつくるのが好きだった松下さんは、武蔵野美術大学で現代彫刻を学ぶなか、陶芸作家を志した。現在はオーバーンにある自宅兼アトリエで制作に打ち込んでいる。以前住んでいたアパートでは大家に許可を得て暖炉に窯を置き制作をしていたほど陶芸への情熱は熱い。

洗練されていながらも、ほどよい遊び心がアクセントとなり、インテリアに個性を添える作品ばかり。ワンピースの一輪挿しは松下さんの代表作のひとつ

焼き物の歴史は古く伝統的な表現スタイルも多いが、その枠組みにとらわれず独立した女性作家としての表現を探求し、思わずときめくような作品づくりを心がけている。陶芸の技術は奥深く、常に研鑽を続けなくてはならないが、その一方で技術はあくまでもデザインを具現化するための手段に過ぎないと考えている。そのため、技術が前に出すぎないよう、デザインそのものを重要視しながら制作に臨んでいる。

オノ・ヨーコの作品「シーリング・ペインティング/イエス・ペインティング」から「イエス」という言葉を引用し、前向きなメッセージを添えた。マグカップの穴には、日本の伝統技法「ホタル焼き」を応用し自ら調合した釉薬を用いて軽やかさを表現

人気作品の一つに、ルーズリーフで折った紙飛行機のような置き物がある。昨年末にSNSで公開した制作動画が話題になり、世界中からなんと200件以上もの注文が殺到! イギリス版『VOGUE』にも掲載されたほどだ。

この冬に期間限定で販売を行う一輪刺し

松下さんが作家活動の初期に用いた練り上げ技法とは、2、3種類の色土でをろくろを用いて形成し渦巻き模様の陶器を作る方法。当初は色鮮やかなカップや器を中心に制作していたが、さらなる表現の広がりを模索するなかで、「色の層ではなく線を出し、ルーズリーフのようにつくれたら面白いだろうな」と、色土を積層し断面を加飾する練り込み技法を応用し、ノートの紙でできたようなマグカップを制作。それを眺めていた同じくアーティストの夫から「紙飛行機にしたら」とアドバイスされ、試してみたところ大ヒットに。夫の案が当たったことには、ちょっと悔しい気持ちもあると笑う。こうしてルーズリーフのシリーズが誕生。折り紙の箱や中華料理のテイクアウト·ボックスなどユニークな作品を次々と生み出している。

作品は、ウォーリングフォードの陶器専門店「ソルトストーン·セラミックス」やオーバーンの「ポストマーク・センター」、およびオンラインで購入が可能。

INFO.
サオリ・エム・ストーンウェア
https://saorimstoneware.com instagram: @saorimstoneware 2025年ホリデーシーズン限定の、天使をモチーフにした一輪挿しを9月15日よりオンラインストアで販売中。紙飛行機の作品も予約注文受付中。