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森発言と五輪〜みきこのシリメツ、ハタメーワク

みきこのシリメツ、ハタメーワク

2月早々の「女性蔑視」の森発言。そして辞退。「若手か、女性が良い」と世論が沸き立ち、後任は橋本聖子氏に落ち着いた。現在、順風満帆のはずであるが、コロナ禍の聖火リレーに賛否両論。リレーをひと目見ようと人が密に集まり、一時中止をした市もあった。

これだけ世界中で犠牲者が出ているのに、なんで五輪? この時期にお祭り騒ぎはないでしょう。長年練習を重ねてきたアスリートには申し訳ないが、感染抑制に貢献することを考えれば、おのずと結論は出るのではないかしら?

海外からの観客なし。一体何カ国集まれば「世紀の祭典」となるのかしら? 最低3カ国集まって、金、銀、銅メダルを取り替えっこしながら取ったところで、アスリートだって「ん?」とならない? 「参加することに意義がある」って、子どもの頃に習わなかったかなぁ?

でも、森 喜朗元首相の心情を考えると、ちょっと複雑な気持ちになる。あの森発言はメディアに踊らされた部分もあるからだ。彼は女性を軽蔑したのではなく、「女性の発言が長いなら(実際に国会中継を見ているとうなずける)会議の時間規制をしたらいい」というサゼッションをしたのである。彼のスピーチの一部のみを報道されたために波紋が広がってしまった。

翌日の謝罪、そして早急の辞退。以前若い議員に言った言葉、「政治とは決断すること。決断とは泥をかぶること」を実践したのだ。泥をかぶっても五輪を成功させたかった森前会長の人脈と交渉力は、2019年ラグビーW杯日本大会の開催成功でも証明される。

森前会長は首相時代から失言が多く有名だった。いきなり即答をしてしまうところは、どこぞの国の前大統領と同じだ。違うところは、森前会長は他人のこと、回りのことを思いやる点だ。会長の職を7年前に無償を条件に受け入れたがそれを否定され、アルバイトと同じ額の報酬で、それを懇談会費などに充てていた。首相時代の肺がん治療から、現在も人工透析を受けながら命をかけてこの大会に取り組んできた。

首相退任後の2005年頃、来沙されたことがある。当時、シローズ寿司で給仕をしていて、奥の部屋に銀ダラの粕漬けを運んだ時のことだ。

「ノルウェーの寒流で育った銀ダラは脂がのっていて、うち独自の酒粕に漬けたものです」とサーブすると、ひと口食べて一拍。そしてひと言、「ん、うまいっ!」

懐かしい思い出だ。

東京都出身。2000年から2005年まで姉妹紙『北米報知』ゼネラル・マネジャー兼編集長。「静かな戦士たち」、「太平洋(うみ)を渡って」などの連載を執筆。2020年11月に日本に帰国。同年、著書『ゼッケン67番のGちゃん』を刊行。