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From the World of John Wick: Ballerina(邦題『バレリーナ:The World of John Wick 』)〜注目の最新ムービー

注目の最新ムービー

シリーズの中でも遜色のない出来栄え


From the World of John Wick: Ballerina/
(邦題『バレリーナ:The World of John Wick 』)

キアヌ・リーブス主演の大ヒットアクション映画「ジョン・ウィック」シリーズのスピンオフ。本作はシリーズ第3作と第4作の間を描いている。第3作『ジョン・ウィック:パラベラム』にチラッと登場したバレリーナを主人公に据え、彼女の視点から物語が展開される。リーブスに代わって、彼女のアクションが全編を牽引する内容となっているが、ハイレベルなアクションが見どころのシリーズの中でも遜色のない出来栄えでファンにも好評だ。

カルトに母を殺され、父とともに逃亡した少女イブだが、目の前で追っ手に父を殺される。その後、彼女はニューヨーク・コンチネンタルホテルの支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)に助けられ、主席連合の傘下にある組織「ルスカ・ロマ」のディレクター(アンジェリカ・ヒューストン)のもとに預けられる。そこでバレリーナでありながら、暗殺者としてのスキルを身につけ成長したイブ(アナ・デ・アルマス)は、再びカルトに命を狙われるようになる。彼女はディレクターに復讐を願い出るが、カルトとの間には休戦協定があるため、その願いは退けられる。

そこでウィンストンに相談に行くと、プラハ・コンチネンタルホテルに滞在中のダニエル・パイン(ノーマン・リーダス)もまたカルトに狙われていることを知らされる。イブはカルトに迫る手がかりを求めてプラハに向かうのだった。

本作の舞台は、殺人カルトや暗殺集団が暗躍する極めて物騒な架空の世界。どこもかしこも暗殺者だらけで、全編の約6割は主人公が襲撃を受け、逆襲する戦闘シーンの連続だ。そんな世界で、華奢なデ・アルマスが緻密に振り付けられた格闘や銃撃シーンを、時にユーモラスに、時にキレ良く、次々と見せつけてくれる。超人的な役柄で、この役のためにかなり鍛えたはずだ。単に体が動けば良いというものではなく、バレリーナ訓練生だった時期から、体に傷を負い徐々に復讐に燃える暗殺者へと変貌していく姿には迫力があった。

映画『アンダーワールド』シリーズの監督や製作を担当したレン・ワイズマンが務めている。本シリーズのクールかつスタイリッシュな映像も健在で違和感がなかった。

リーブスはあまり多く登場しないが、イブにこの世界から抜け出すよう忠告しているシーンの語り口には、大ヒット作『マトリックス』のネオを彷彿とさせるものがあった。

リーブスにとってジョン・ウィックが当たり役となったのは彼のカリスマ性ゆえんだが、そのカリスマ性自体がネオという役から生まれたのではないだろうか。まったく違う映画なのに、ジョンにネオのイメージを重ねて見ている観客はわたしだけではないだろう。

From the World of John Wick: Ballerina /
(邦題『バレリーナ:The World of John Wick 』)

 

写真クレジット: Lionsgate
上映時間:2時間5分
シアトル周辺ではシネコンなどで標準、4DX、PX RPX、DBOX、DBOX XD、Dolby Cinema等にて上映中。

土井 ゆみ
映画ライター。2013年にハワイに移住。映画館が2つしかない田舎暮らしなので、映画はオンライン視聴が多く、ありがたいような、寂しいような心境。写生グループに参加し、うねる波や大きな空と雲、雄大な山をスケッチする日々にハワイの醍醐味を味わっている。