在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務した後に、2013年定年退職した武田 彰さんが綴るハッピー・シニアライフ。国境を超えるものの、シアトルに隣接する都市であるカナダのバンクーバーB.C.で過ごす海外リタイアメント生活を、お伝えしていきます。
北海道は魚がうまい!
北海道・釧路に仮住まいの友人が「ここの魚は日本一」と言う。魚に「釣」られ、9月下旬に4年ぶりの日本行きが実現。相棒ジェームズ、シアトルの旧友(日本人)と3人での18日間の滞在となった。
東京に着き羽田で1泊した夜、夕食後にソフトクリーム1つを3人でシェア。濃厚な牛乳の味と控えめな甘さに、「これぞ日本のソフト」と笑みがこぼれる。良い旅の前触れだ。翌日は釧路へ。残暑で気温が30度を超える東京に比べ、25度と快適。
有名な幣舞橋 は宿から数歩の距離で、記念公園に入ると突然、美川憲一「釧路の夜」が流れ出して「ぎょっ」。回転寿司では、北海道に来た興奮と値段の安さに、気が付けば49皿が積み上がる。宿泊したグローバルビュー釧路は天然温泉付きビジネスホテル。円安のおかげで朝食込みでも極めてリーズナブルだ。屋上露天風呂を出てサウナに入ると、タオル交換に女性の係員が来て、再び「ぎょっ」
しかし、夜中にのどが痛くなり、熱も高め。風邪?時差ボケもあり、なかなか寝付けず朝を迎えた。新型コロナの簡易検査を試すと陰性だったので、食堂で朝食とする。たまたまTVで見たニュースでは、「気温が7度以上下がると身体がついていけず、頭痛やのどの痛みが出る気温アレルギーにかかりやすい」とのこと。腹を温める食べ物が良いらしい。取り放題の朝食ビュッフェで食傷気味となるも、徐々に元気を取り戻す。
6泊した釧路では厚岸 のオイスター、霧多布 岬、鶴居村の丹頂鶴、釧路湿原など、友人の案内で北海道の大自然をあがめる。次は電車を乗り継ぎ、約7時間かけて函館へ。朝市名物の海鮮ちらしに大満足。翌日は「ジャパン・レール・パス」を使い、岩手県平泉を訪れる。中尊寺など珍しく寺社観光するも、境内は混み合い風情がない。でも知らない土地へ行けたことはありがたい。一関 で2泊して、家族が住む京都へ向かう。
弟家族のほか、連絡が途絶えていた兄とも父母の墓参りで30年ぶりに再会。お互い「これが最後」と頭をよぎったのかもしれない。今も元気で働くと聞き、長年引っかかっていた心配が和らぐ。観光客でごった返す京都では、駅前の新阪急ホテルに4泊。食べ物屋が多過ぎて「さて何を食べる?」と連日迷うのも楽しい。
大阪にも足を運び、ジェームズの韓国系友人の案内で大阪城、道頓堀、四天王寺などをざっと回る。天王寺の居酒屋、まいどに寄り、友人たちとも落ち合う。ここの女将は客の好みを忘れない。帰国のたび会う同年齢の友人たちは誰もくたばっていない。大阪最終日は友人夫婦の車で初めて淡路島に。
幸い誰も体を壊さず、大きなミスもなく、またすぐ日本へ行きたくなった。今度は九州からフェリーで韓国も旅してみたい。