今や誰もが知る「SDGs(持続可能な開発目標)」。この目標の達成を目指して経営する企業が、世界にはたくさんあります。もしかしたら、あなたが実践者になる日が来るかも? 意外と知られていない、身近にあるSDGs経営を紹介します。
世界の絶対的貧困の変化
先日、「絶対的貧困」の基準額が改定されたことをご存じでしょうか。SDGs経営を考えるうえで、「貧困」は避けて通れない重要なテーマの一つです。貧困には大きく二つの考え方があります。一つは、食料や住居など生命維持に必要な最低限のニーズすら満たせない「絶対的貧困」。もう一つは、その国や地域の平均的な生活水準よりも著しく低い状態にある「相対的貧困」です。今回は、こうした貧困の測定基準がどのように変化してきたのかを通じて、SDGs経営への示唆を探ります。
国際貧困ラインの変遷と基準が変わる理由
| 貧困ラインの額 | 改定年 | 基準となったPPPの年 |
| 1日1.90ドル | 2015年 | 2011年PPP |
| 1日2.15ドル | 2022年9月 | 2017年PPP |
| 1日3.00ドル | 2025年6月 | 2021年PPP |
世界銀行のデータによれば、世界の極度の貧困率は1990年代初頭の約36%から2015年には10%にまで大幅に減少しました。しかし、依然として貧困削減の進みが遅いサハラ以南のアフリカに、世界の最貧困層の約3分の2が集中しているのが現状です。
貧困ライン変更の経済学的根拠―PPPと生活水準の変化
金額の更新には、購買力平価(PPP)に基づいて行われます。PPPの更新によって、各国の物価水準や為替変動が反映され、より現実的な生活コストを国際的に比較できるようになります。PPPデータが改定されるたびに、世界の最貧国における「最低限の生活費」をより正確に示すため、国際貧困ラインも見直されます。
近年の改定は、単なるインフレ補正にとどまらず、各国の所得上昇や生活環境の変化を踏まえ、貧困層が「基本的な生活水準」として認識する基準そのものが引き上げられてきています。
所得指標だけではない、多次元貧困指数の登場
貧困は、収入の低さだけでなく、健康、教育、住環境など、本来あるべき機会や環境が奪われる「剥奪」がいくつも重なって起こる複雑な現象です。この問題を補うため、国連開発計画(United Nations Development Programme、略称:UNDP)とオックスフォード貧困・人間開発イニシアチブ(Oxford Poverty and Human Development Initiative、略称:OPHI)は、所得だけでは捉えきれない貧困を測定するために、多次元貧困指数(Multidimensional Poverty Index、略称:MPI)を共同で開発しました。
貧困を立体的に捉える三つの分野
多次元貧困指数(MPI)は、所得ではなく次の三つの分野と10の具体的指標で貧困を測定します。
1. 健康(栄養、子どもの死亡率)
2. 教育(就学年数、就学状況)
3. 生活水準(調理燃料、衛生施設、飲料水、電気、住宅、資産)
MPIの特徴は、所得だけでは見えない困難(例:紛争地帯でのインフラ不足)を可視化できる点にあります。これにより、政策立案者は現金給付だけでなく、教育機会の提供やインフラ整備など、より効果的な支援策を設計できるようになります。
貧困撲滅に向けた包括的な視点が、いま世界で求められています。国際貧困ラインの進化と、多次元貧困指数(MPI)の導入は、貧困をより多面的に理解するための重要な一歩です。真の貧困削減には、国際的な基準による共通目標の追求と各国が抱える相対的貧困(例:日本のひとり親家庭の貧困率48.2%)への対応を組み合わせた包括的な取り組みが欠かせません。このような社会を一歩前進させるのは、SDGs経営に取り組む企業のちょっとした工夫を知った、あなたの一歩です▪️相対的貧困とは?絶対的貧困との違いや相対的貧困率についても学ぼう
https://www.worldvision.jp/children/report/20250325-492/index.html
▪️「貧困」をはかる指標 – 日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/kodomo/teacher/pdf/fo/fo_45.pdf
▪️日本の貧困問題について知り、今、私たちに何ができるのかを考えよう – ワールド・ビジョン・ジャパン
https://www.worldvision.jp/children/report/20250325-512/index.html
▪️世界の貧困率を知る|各国の貧困の現状とわたしたちにできること – プラン・インターナショナルhttps://www.plan-international.jp/social_issues/causes-global_pobetyrates/
▪️貧困層とは?世界の貧困層の定義と割合を調べよう
https://www.worldvision.jp/children/report/20250326-641/
▪️世銀、国際貧困ライン、1日1.25ドルから1日1.90ドルに改定
https://www.ganas.or.jp/press/20151016povertyline/
▪️世界の貧困に関するデータ
https://www.worldbank.org/ja/news/feature/2014/01/08/open-data-poverty
▪️新たな推計公表:世界の子どもの6人に1人が極度の貧困
https://www.unicef.or.jp/news/2023/0152.html
▪️国際貧困ライン2025年6月の改定
https://www.worldbank.org/ja/news/factsheet/2025/06/05/june-2025-update-to-global-poverty-lines
▪️貧困線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E7%B7%9A
▪️貧困層とは?世界の貧困層の定義と割合を調べよう
https://www.worldvision.jp/children/report/20250326-641/index.html
▪️第4節 世界の発展と残された課題 – 経済産業省
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2020/2020honbun/i2240000.html
▪️貧困をなくそう: 世界の貧困の近未来
http://datatopics.worldbank.org/sdgatlas/archive/2020/JP/goal-1-no-poverty/
▪️世界の貧困:測定方法をさらに強化
https://blogs.worldbank.org/ja/voices/further-strengthening-how-we-measure-global-poverty
▪️貧困の連鎖とは?その原因と貧困の連鎖を断ち切るための対策を考えよう
https://www.worldvision.jp/children/report/20250328-1457/
▪️貧困指数、民族集団間の厳しい格差を明らかに
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000075432.html
▪️Multidimensional Poverty Index
https://en.wikipedia.org/wiki/Multidimensional_Poverty_Index
▪️Multidimensional Poverty Index (MPI)
https://ourworldindata.org/grapher/multidimensional-poverty-index-mpi
▪️Global Multidimensional Poverty Index 2024
https://reliefweb.int/report/world/global-multidimensional-poverty-index-2024-poverty-and-conflict
▪️相対的貧困とは?先進国での現状や課題と私たちにできること
https://www.yoridori.jp/earth-note/relative-poverty/
▪️子どもの貧困の定義とは 年収いくらくらいを指すの?~貧困の子どもは日本に255万人(7人に1人)
https://3keys.jp/issue/c01/


















