今や誰もが知る「SDGs(持続可能な開発目標)」。この目標の達成を目指して経営する企業が、世界にはたくさんあります。もしかしたら、あなたが実践者になる日が来るかも? 意外と知られていない、身近にあるSDGs経営を紹介します。
美しさの裏側にある闇:ブラッドダイヤモンド問題と、キンバリープロセスの役割
ダイヤモンドは美しく輝く宝石として愛されていますが、その裏側には「ブラッドダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)」と呼ばれる問題があります。これは、紛争地域で違法に採掘されたダイヤモンドが武装勢力の資金源となり、内戦や暴力を助長しているという深刻な課題です。このような取引は人々の安全や生活を脅かすだけではなく、労働環境の悪化や環境破壊にもつながっており、倫理的な観点から国際的な批判を集めています。こうした状況に対応するため、2003年に国連主導で「キンバリープロセス証明制度」が導入されました。
キンバリープロセス証明制度とは?

日本とシアトルの取り組み
日本の経済産業省が「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に基づき、ダイヤモンド原石の輸出入管理を行っています。タサキ、ギンザタナカ、ミキモトなど日本の宝飾ブランドも、倫理的な調達を重視し、信頼性の高い製品の提供に努めています。
一方、アメリカでも違法なダイヤモンドの取引は禁止されており、シアトルを拠点としたシアトル・ダイヤモンズや、ブルーナイル、ベンブリッジなどの企業がコンフリクトフリー・ダイヤモンド提供に力を入れています。これらの取り組みは、地域経済と倫理的ビジネスの両立を目指す動きとして広がっています。
消費者としての選択
ダイヤモンドを購入する際、私たち消費者にもできることがあります。購入前に証明書や保証書を確認し「キンバリープロセス認証済み」のダイヤモンドであるかを見極めることです。こうした選択は武装勢力への資金供給を断ち、平和構築への一助となるのです。実際に、筆者もプロポーズの際にはアントワープ・ブリリアントでコンフリクトフリー・ダイヤモンドの指輪を購入し、認証書を添えてパートナーに渡しました。

