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婚約者ビザ〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

婚約者ビザ

2023年6月下版号の記事で、婚約者ビザ(K-1ビザ)の申請とグリーンカード(米国永住権)の申請の違いについて解説しました。今回の記事では、婚約者ビザについて、さらに詳しく解説します。 婚約者ビザは、アメリカ国籍者と婚約をしている外国籍の婚約者が、渡米後にアメリカ国籍者と結婚することを条件に発給されるビザです。

▪️婚約者ビザの主な申請条件

1.スポンサーがアメリカ国籍者であること
グリーンカード保持者はスポンサーになることはできません。
2.法律上結婚できる状況であること
スポンサーであるアメリカ国籍者と外国籍の婚約者が、ともに結婚できる状況でなければなりませ
ん。過去に結婚していたことがあれば、離婚や死別などにより、その結婚が法律上解消されている
ことを証明しなければなりません。
3.渡米後、結婚する意思があること
外国籍の婚約者は、アメリカ入国後90日以内に結婚しなければなりません。
4.面識があること
アメリカ国籍者と外国籍の婚約者は、申請前の2年間に少なくとも一度は対面していなければなりま
せん。ただし、アメリカ国籍のスポンサーにとって実際に会うことが非常に困難な場合、あるいは
外国籍の婚約者の国の文化的、社会的習慣により、婚前に会うことができない場合などの限られた
状況では、条件免除を申請することができます。

これらの条件からわかるように、渡米後に結婚することが前提のため、すでに結婚が成立している場合は、配偶者ビザ、または家族ベース移民ビザを申請します。婚約者ビザは申請できません。

外国籍の婚約者がアメリカ国外に住んでいることも条件の一つです。もし、外国籍の婚約者がすでにアメリカで合法的に滞在している場合は、婚約者ビザは申請できません。

前述したように、スポンサーはアメリカ国籍でなければならないため、グリーンカード保持者はスポンサーになることはできません。グリーンカード保持者がスポンサーとなる場合は、グリーンカード保持者が帰化し、アメリカ国籍を取得した後に婚約者ビザを申請する、あるいは、結婚しグリーンカード保持者の配偶者として、家族ベース移民ビザ申請の第2優先カテゴリで申請する方法があります。 外国籍の婚約者をアメリカに呼び寄せるには、移民局と国務省による2段階のプロセスがあります。

ステップ1:I-129F請願書の提出(移民局)
I-129F請願書を移民局に提出します。身元調査やセキュリティー·チェックのほか、2人の関係が本物であるかの審査があります。

ステップ2:米国大使館・領事館での面接(国務省)
日本の場合は、東京の米国大使館、または那覇の米国領事館で面接が行われます。申請が認可された場合は、婚約者ビザが発給され、2週間程でビザがついたパスポートが返却され渡米可能となります。通常、ビザは最長6ヶ月有効で、その間に渡米する必要があります。婚約者ビザによる入国は1回限りとなっています。結婚後に、新婚旅行等で出国すると、婚約者ビザを利用しての再入国はできませんので注意が必要です。

婚約者ビザは、婚約者としてアメリカに入国することを目的としたビザのため、入国することでプロセスが終わるわけではないことに注意してください。入国後アメリカで生活するには、グリーンカードを申請しなければなりません。婚約者ビザ保持者の滞在は、入国から90日と限られているため、その間に結婚しグリーンカードを申請しない場合は、不法滞在となります。婚約者ビザで入国した婚約者は、滞在期間の延長や他のビザへの変更はできないということも忘れないようにしましょう。

なお、外国籍の21歳未満の未婚の子どもは、親の婚約者ビザに付随する形でK-2ビザを申請し、入国後、親と一緒にグリーンカードを申請することができます。

五十畑 諭
神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 カンザス州およびワシントン州弁護士協会会員、米国移民法弁護士協会会員。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118