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旅は道連れ、出会いは宝 〜野口亜弥さんのお話を聞く その 1〜 〜ゆる〜くSDGsな消費者生活 Vol.25

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

旅の醍醐味と言えば、食や文化体験などもろもろあれど、日常生活では知り合えないような人との出会いもそのひとつ。私にとって、野口亜弥さんとの出会いは、そんな旅先での幸運だったと思う。

10年以上前だが、シアトルで舞台芸術の勉強をしていた私は、本場ブロードウェイの舞台を観たいと、何度かニューヨークへ旅をした。その際に常宿としていたゲストハウスで知り合ったのだ。当時、亜弥さんは、女子サッカー日本代表を目指すアメリカの大学院生。そんな「すごい人」に思える彼女でも、挫折やこれからの不安などを語っていて、自分だけではないと勇気付けられたのを覚えている。その後、スウェーデンのプロサッカーリーグでプレーしたり、ザンビアでサッカーを教えたり(!)。そして日本帰国後には立ち上がったばかりのスポーツ庁に入庁と、SNSを通して活躍を目にしては、「立派だなあ……」と陰ながら応援していた。

アメリカのセミプロチームでプレーしていた留学時代の亜弥さん中央

少し前、SNSで「ジェンダー・インクルーシブなスポーツ・コーチング」についての亜弥さんの投稿を目にした。スポーツ・コーチングの世界でジェンダー・インクルーシブってどういうこと? 全くわからない分野だったので、「詳しく教えて欲しい」とメッセージを送信! ずいぶん久しぶりの連絡にもかかわらず、亜弥さんは以前と変わらない気さくさで、本コラムでの掲載をふたつ返事で快諾してくれたのだった。

そもそも、亜弥さんは今どんなことをしている人なのか? そこから説明していこう。現在は、成城大学文芸学部の専任講師として「開発と平和のためのスポーツ(SDP)」の研究を続ける傍ら、「スポーツを通じた共生社会づくり」を目指す団体、S.C.P. Japanの代表を務める。さらに、この4月にはLGBTQ+の人々を支えるNPO法人、プライドハウス東京の共同代表に就任と、なんとも忙しい日々を送っている。

プライドハウス東京メンバーと前列右端日本初の大型LGBTQ+センターとなるプライドハウス東京レガシーをサポートするためのクラウドファンディングを4月末日まで実施中<a href=httpssyncablebizcampaign4292 target= blank rel=noopener>httpssyncablebizcampaign4292<a>

亜弥さんが研究テーマとする「SDP」は国連も打ち出すコンセプトで、たとえば女性差別や暴力の撤廃といった社会的課題の解決手段としてスポーツを捉えるもの。最近まで、タイで女性のエンパワーメントを題材としたフィールドワークを行っていたそう。「サッカーは男性のためのスポーツ」という意識が根強い同国で女性がプレーできる場を提供し、ジェンダー規範からの逸脱を図ると同時に、より大きな目標に向かうためのきっかけを作る、ということらしい。なるほど、いよいよ話が面白くなってきたところで、続きはまた次回!

野口亜弥■筑波大学体育専門学群卒、米フランクリン・ピアス大学大学院でMBA取得。スウェーデンでプロサッカー選手としてプレーし、現役を引退後は、ザンビアのNGOにて半年間、スポーツを通じたジェンダー平等を現場で実践。日本帰国後はスポーツ庁国際課に勤務し、国際協力および女性スポーツを担当する。順天堂大学スポーツ健康科学部助教を経て、今年4月に成城大学文芸学部専任講師に着任。2020年に一般社団法人S.C.P.Japanを共同で設立し、スポーツを通じた共生社会づくりを目指す。

■S.C.P. Japan
https://scpjapan.com
スポーツを通じて、誰もが自分らしく歩んでいける社会の実現をコンセプトに掲げる一般社団法人。インクルーシブなスポーツ・プログラムやイベントなどを実施し、ジェンダー平等のための研修・講習、アスリートを招いての交流会、情報発信も行う。

■プライドハウス東京
https://pridehouse.jp
東京2020オリパラを契機に、LGBTQ+に関する理解を広げることを目的として2018年に立ち上がったプロジェクト。現在は、特定非営利活動法人として運営される。2020年には新宿にプライドハウス東京レガシーという大型LGBTQ+センターを開設した。

■開発と平和のためのスポーツ国際デー
www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/social_development/science_culture_communication/un_sports
国連では、スポーツが「平和と開発を促し、SDGsの達成において重要な役割を果たす」とし、4月6日を「開発と平和のためのスポーツ国際デー」と定めている。スポーツ環境のための、気候変動の課題解決にも取り組む。

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。