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家族全員スーパーヒーロー、アクション・コメディーの快作

Incredibles 2
(邦題「インクレディブル・ファミリー」)

上映時間2時間5分 写真クレジットWalt Disney Studios Motion Pictures シアトルではシネコンなどで上映中

大の映画ファンなのに、アニメとなると敬遠する人が意外と多い。アニメは子ども向けという先入観があるようで残念だ。アニメと言っても、子ども向けにテレビアニメを量産していた数十年前とは、かなり様変わりしている。今、劇場公開されるアニメ作の多くは、アクション・コメディーやファンタジーのジャンルなら、下手な実写ものよりよほど娯楽性に秀でている。

そんなアニメ界で、歴代最高の興行収入5億ドルを稼ぎ出したメガヒットがある。それが今公開中の「インクレディブル・ファミリー」だ。ピクサー製作で大ヒットした「Mr.インクレディブル」から14年、ファン待望の続編である。

物語は前作のエンディング直後から始まる。地下に住む凶暴な怪物と闘ったスーパーヒーロー(以下SH)・ファミリー、パー一家だが、街を破壊したということでSH活動を禁止されてしまう。しかし、SHの復活を願う富豪の要請で、「体が伸縮自在のイラスティガール」こと、母・ヘレン (ホーリー・ハンター)だけがSH活動を始めることに。「怪力の持ち主、Mr.インクレディブル」である父・ボブ(クレイグ・T・ネルソン)はお留守番で、家事育児の一切を引き受けるが、赤ん坊のジャック・ジャックが未知数のスーパーパワーを使い始めて大慌て。そんな頃、不可解な事件が頻発する。

家族全員SHというオリジナルのアイデアが卓抜していて、前作の大ヒットにつながったのだと思うが、本作では大活躍する妻の陰で主夫となるボブの苦労がコミカルに描かれる。赤ちゃんにおしっこをかけられたり、娘の思春期の悩みや息子の算数の宿題に手を焼いたり。平凡な日常を丁寧に描き、後半の一大アクション・シーンと好対照。家族全員がそれぞれの持つ力を出し切って、トラブル解決という納得のエンディングへと向かう。予想通りの展開ではあるが、くっきりと描き分けられた家族のキャラクターと強烈な個性が光る脇役、彼らが交わすスマートでコミカルな台詞のやり取り、そしてスピーディーなアクション・シーンの連続に、あっという間に時間が経つ。ジャック・ジャックの愛らしい笑い声と傍若無人ぶりも作品の大きなアクセントになって、本作の大成功につながったのだろう。脚本・監督は前作と同じブラッド・バードで、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」など実写アクション映画などもヒットさせてきた。アニメ苦手派でも、食わず嫌いはもったいない快作である。

映画ライター。2013年にハワイに移住。映画館が2つしかない田舎暮らしなので、映画はオンライン視聴が多く、ありがたいような、寂しいような心境。写生グループに参加し、うねる波や大きな空と雲、雄大な山をスケッチする日々にハワイの醍醐味を味わっている。