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妻の生まれ変わりを探し続けるゴシックロマンス
Dracula: A Love Tale
(邦題『ドラキュラ』)
ドラキュラものは根強い人気のあるジャンルで、映画やテレビドラマなどで数多く描かれてきた。映画好きの方なら、一作ぐらい観たことがあるかもしれない。本作は、19世紀後半にブラム・ストーカーが書いた小説『吸血鬼ドラキュラ』を下地とし、フランスのリュック・ベッソン(『レオン』『LUCY/ルーシー』で知られる)が脚本・監督をした作品だ。ストーカー版の『ドラキュラ』というと、1992年に公開されたフランシス・フォード・コッポラ監督のアメリカ映画『ドラキュラ』(原題:Bram Stoker’s Dracula)を思い出す。当然といえば当然だが、鑑賞中はついついコッポラ版との比較になってしまった。果たして、何がどう違って、どちらがおもしろかったのか?
15世紀、ワラキア公国のヴラド・ツェペシュ王子(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、オスマン帝国との戦いで最愛の妻エリザベータ(ゾーイ・ブルー)を死なせてしまう。悲嘆に暮れた王子は神を捨て、天国を呪い、永遠の命を得てドラキュラとなり、妻の生まれ変わりを探し続ける。そして400年後の1889年、ようやく妻とそっくりなミーナを見つける。
ミーナは、ドラキュラ伯爵の城を訪ねてきたパリの弁護士ジョナサン・ハーカーの婚約者であった。それを知った伯爵はハーカーを城に幽閉し、ミーナを探しにパリへ向かう。同じ頃、パリでは司祭(クリストフ・ヴァルツ)が、ハーカーの友人の婚約者マリアと対峙していた。彼女は伯爵によって吸血鬼となっており、司祭から逃れて、友人であるミーナの元へ伯爵を案内する。再会した二人。初めは驚くミーナだったが、次第に記憶を取り戻し、ついには伯爵との永遠の愛を誓うのだった。
大筋では物語は同じで、登場人物もほぼ変わらない。コッポラ版はかなり原作に忠実で、物語の中心はハーカー、ミーナ、伯爵の三人それぞれの思いが描かれていく。一方、本作は妻の死に打ちひしがれた王子が、数世紀にわたって一人さまようゴシックロマンスとして描かれており、そこに大きな違いがあった。この設定で伯爵を演じたジョーンズは繊細さが際立ち適役だったと思うが、コッポラ版の伯爵は名優ゲーリー・オールドマン。彼の強烈な存在感と怪演と比較するのは、やや気の毒にも感じられた。違う映画なのだから比較自体に意味がないのかもしれないが、コッポラ版が重厚な大豪邸だとすると、本作はどうしても見劣りしたことは否めない。アクションに定評のあるベッソン監督だが、終盤のアクションシーンも安直に撮られた印象。しかも、400歳生きた後のドラキュラ伯爵を演じる際のオールドマンとジョーンズの髪型が似ている点も気になった。独自の解釈で描くのであれば、こうしたディテールも独自のスタイルで描くべきではなかったか。正直なところ、褒める点を見つけるのが難しかったが、コッポラ版とは切り離し、純粋にロマンスとして鑑賞すれば楽しめるだろう。
Dracula: A Love Tale
(邦題『ドラキュラ』)
写真クレジット:Vertical Entertainment
上映時間:2時間9分
シアトル周辺ではシネコンなどで上映中。


















