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サッカーはちょっと異質、でもサウンダースは大人気

サッカー情報を追っていると、あれっ? と思うことがよくあります。同じ英語でも、サッカーで使用される用語は他のスポーツと微妙に違うのです。サウンダースの試合前に行進するサポーター達

アメリカでは、野球でもアメフトでも試合のことは「Game」と呼ぶのが普通です。しかしサッカーでは「Match」。ファンのことは「Supporter」。ユニフォームは「Jersey」ではなく「Kit」。同点に追いつくのは「Tie」ではなく「Equalize」。無失点試合は「Shutout」ではなく「Clean sheet」。

ヨーロッパのサッカーリーグの英語表記を見ると、さらに不慣れな言葉が出てきます。試合日程は「Schedule」ではなく「Fixtures」。順位表は「Standings」ではなく「Table」といった具合です。試合を見ても、どっちがどっちのチームか分からないこともしばしば。しかもユニフォームの胸に大きく書かれているのはスポンサー名で、チーム名やロゴは左襟下にほんの小さな表示があるだけ。例えば、スペインのアトレティコ・マドリードというチームのスポンサーはアゼルバイジャン共和国政府。この国の代表チームかと勘違いする人がいてもおかしくないくらいです。

こういった違和感に加え、なかなか点が入らない、怪我のふりをする選手が多いなど、夏のワールドカップでは過去最大の視聴率を得たものの、アメリカでは今なお人気が伸び悩むサッカー。他のスポーツを見慣れてきた人達を魅了するには、新しい何かが必要です。

その点で、メジャーリーグサッカー(MLS)中、最も成功しているのはシアトル・サウンダース。昨年のMLSの試合平均観客数は約1万9千人。2万5千人を越すチームがない中、サウンダースだけは4万4千人で、チーム創設の2009年から5年連続でMLSの最多観客動員記録を更新しています。

シアトルは元々サッカー人気が高い土地ですが、サウンダースはサポーターの代表からなる評議会にジェネラルマネージャーの信任投票権を与えたり、南エンドゾーンをサポータークラブ優先席にするなど、積極的にサポーターの意向をチーム運営に反映させています。そのおかげでサポーターも応援に熱が入り、ホームゲーム前にはセンチュリーリンク・フィールドまで行進。試合中ずっと、マイクを握ったサポーター代表が応援歌の音頭を取るなど、「面白い! また来たい!」と思わせる演出が上手です。とはいえ、サウンダース人気の最大の理由はチームの強さ。アマチュアチームも含めた国内トーナメント戦であるUSオープンカップで過去4回優勝。今季も通算6回目のプレーオフ出場が決まり、チーム史上初のMLSカップ優勝を目指します。

[スポーツウォッチング]
MBAを取得し某IT企業のファイナンス部門で10年勤務するも、大のスポーツ好きが高じて脱サラ。スポーツライターへ転身。「スポーツは見て楽しむもの」をモットーに年中スポーツ観戦に大忙し。www.afnjapan.comでアメフト情報も発信中。