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もしアメリカでがんと診断されたら?

乳がん、卵巣がん、子宮がん患者の心に寄り添い、悩める女性たちをサポート。現在のアメリカの医療制度で今、私たちができることを探ります。

第2回 もしアメリカでがんと診断されたら?

日本人がアメリカで病気になってしまった場合、どうしたら良いのでしょうか? 日本とアメリカにおいて、治療法に大きな違いはないにしても、その治療を受けるプロセスや保険制度、治療の流れ、システムの違いがあります。私たち日本人がアメリカでの治療を選択する場合は、その点に留意しなくてはいけません。 ここでは、乳がん治療を例に挙げて説明していきます。

通常は日米共に40歳を過ぎたらマンモグラフィーの検査を受けるよう推奨されています。それ以前に胸に異変を感じたとしても、アメリカではいきなり患者自身が、乳腺外科に直接コンタクトを取ることはできません。日本の治療の流れとして、基本的には一般のクリニックから紹介を通して総合病院など大きな病院に移ってからは、初診から治療終了まで乳腺外科の同じドクターが担当となることがほとんどです。一方、アメリカでは通常、かかりつけ医にまず予約を入れ、そこから検査や専門医に予約を入れるためのリファーラル(紹介状)を出してもらいます。この時、各自の医療保険によるものの、どの専門医に診てもらうかは自分で選択することもできます。マンモグラフィーなどの画像診断、病理レポートは、かかりつけ医にも報告され、いよいよ治療方針を決めることになります。この場合、病気の種類やステージにもよりますが、外科医、放射線科医、腫瘍内科医(Oncologist)、放射線腫瘍医(Radiation Oncologist)などが関わってきます。

ここで、治療に当たり、ぜひとも参考にしてもらいたいことがあります。

1.治療法を決める時は焦らずに

病状にもよりますが、治療方針を決断するということは複雑で、容易ではありません。初めてドクターと会って、その日のうちに最終的な決断をするのはおすすめしません。いったん家に持ち帰り、他の選択肢があるか否かも十分考慮したうえで決定すべきです。また、そのためにセカンドオピニオンを得ることも大切です。

2.医師に質問をする

日本人は遠慮がちで、医師にいろいろと質問をすることに躊躇を覚える方もいます。納得する治療法を選択し、その結果に後悔しないためにも、積極的に質問しましょう。

3.医師と会う際には誰かと一緒に行く

医師との予約の際は誰かと一緒に行きましょう。がんと診断され、動揺する中で、ドクターの話をきちんと把握することは困難です。付き添ってくれる人がメモを取ったり、質問をしてくれたりするとかなり助かります。また、もしがん経験者が一緒であれば、あなたが未経験のため考え付かない質問などをしてくれることもあります。

4.次回のフォローアップをアレンジしてもらう

今後の流れや予約がわかれば、患者にとっては安心できるものです。

5.躊躇せずセカンドオピニオンを仰ぐ

この点においては日本とは違い、医師も推奨しています。場合によってはアレンジもしてくれます。セカンドオピニオンを聞くことで、治療方針に、より確信が持てるようになります。また病院は、初診とは別系列の病院を選ぶことをおすすめします。

6.副作用の対処法を知る

抗がん剤や放射線治療などを受けることによって体調が悪くなり、生活に支障を感じて、仕事や家庭を犠牲にすることにもなりかねません。治療後も場合によっては長期にわたり仕事を休まなければならないケースもあります。そのため、担当医師とスケジュールについて相談し、治療方針を検討する必要があります。また、サポートグループなどの利用は、心のケアだけでなく、その他のさまざまな支援を受けることができ、メリットは大きいでしょう。

個々の状況や州によって違いがありますので、この限りではありませんが、海外で病気になる不安、不便さは想像以上でしょう。病気に立ち向かい、克服するためには、情報を集め、支えてくれる人やサービスを探すことも大切です。皆さんにとって、より良い選択肢が見つかり、適切な治療が受けられることを願っています。

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1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。
1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。