Home 美容・健康 女性の命を守るヘルスケア テレメディスン ~女性...

テレメディスン ~女性の命を守るヘルスケア Vol.4

女性の命を守るヘルスケア Vol.4

アメリカ生活中に乳がん、卵巣がん、子宮がんを経験する患者の心に寄り添い、悩める女性たちをサポートするSHARE 日本語プログラムによる寄稿シリーズ。現在のアメリカの医療制度で今、日本人の私たちができることを探ります。

第4回 テレメディスン

新型コロナウイルス(COVID-19)感染対策のひとつとして始まったテレメディスン(遠隔診療/オンライン診療)は、すでに経験された方も多いと思いますが、コロナ終息後も継続が見込まれており、各医療機関でテクノロジーの強化が図られているところです。医療現場でのウイルス感染を防ぐという点では、とても良いアイデアであることは確かです。

では、テレメディスンは患者にとって、どのような利点、欠点があるのでしょう?まず、医療機関に足を運ぶ手間が省けることと、医療提供側と同じく病院などでのウイルス感染を防ぐ効果があります。また、これまでは遠方のために行けなかった病院でもセカンドオピニオンを仰ぐことが可能になりました。しかし、スマートフォンやタブレットなどでの検診では、医師が患者の匂いに気付いたり、実際に肌に触れることにより病状を察知したりすることはできません。それらを補うために、患者は自分の体の状態を言葉で伝える必要がありますが、どのように話すかで、診断の結果も少なからず変わってくる可能性が出てきます。

そこで患者に今求められるのが、「コミュニケーション・スキル」です。がんに限らず、これまで実際に対面して診察をしてもらった中で、うまく自分の痛みや症状を伝えられなかった経験を持つ方は少なくないでしょう。

たとえば、「痛みの強さを1から10までの数字で言うと、どのくらいですか」との質問に、日本人の多くは遠慮した数字を答えてしまいがちです。そのため重要視されず、あらぬ結果を招く場合もあるので注意が必要です。

このコラムでも、医師に会いに行く時は聞きたいことをあらかじめメモしておき、医師に質問するなり、そのメモを渡すなりするように勧めてきました。これは、テレメディスンでも重要なポイントです。テレメディスン診断を始める前に、今回の診断では何を伝えたいのか、優先順を決めておきましょう。

前回の診断から比べて何か変化はあるか、処方された薬の副作用、困っていること、気になっていることなど、どんなに小さなことでも医師に知っておいてもらう必要があるため、きちんと書き留めておきます。そのメモを見ながら順番に、痛みや感覚、不安、受けたいアドバイスなどをはっきり伝えられるように準備をしましょう。

また、診断が終わりそうな時に伝えるのではなく、診断が始まる前に、伝えたいことやいくつかの質問があると最初から医師に知らせておくことも大切です。

病院での診察時、忙しくしている周囲の様子から、質問することを躊躇してしまった経験があるという方もいるでしょう。その点、テレメディスンの場合は、医師との目線が同じことや、周囲の様子もあまり目に入って来ないことから、自分のペースを作りやすいのではないかと思います。テレメディスンでも、対面での診察と同様に日本語の通訳を付けられるので、予約を入れる時にお願いしておきましょう。アメリカでは患者が母国語での説明を要求した場合、無料で通訳を付けることが医療機関に義務付けられています。これまでに経験したことのない病気や精神的な問題などで診断を受ける場合は特に、自分で理解できると思っていても通訳をお願いすることで、勘違いなどを防ぐことができ、要らぬ不安を抱えずに済みます。通訳のほかに、家族や友人などにオンラインで参加してもらうのもおすすめです。

画像検診や血液検査などをした場合は、その結果を他の専門医や、かかりつけ医にも必ず報告してもらってください。最新の医療情報が届いていると、次の診察の際に相性の悪い薬を処方されるのを防ぐことができます。また、スマートフォンやタブレット、パソコンなど、自分が使いやすいデバイスの種類、インターネットの接続状況なども事前にチェックしておくこと。一緒に診察に参加してくれる家族や友人にもぜひ確認をお願いしておきましょう。

もし、遠隔での診察だけではきちんと診断してもらえていないと感じた時は、面会して診察して欲しいと、遠慮せずにきちんと希望を伝えることも大事です。

SHARE 日本語プログラム

ヘルプライン:☎347-220-1110(月~金6am~2pm)
問い合わせ・患者サポートミーティング申し込み:​admin@sharejp.org
詳細:https://sharejp.org

1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。

SHARE 日本語プログラム
1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。